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(有)伊東工務店
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「季節のはがき」2017.7.20


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 夏の期待

和様の建築では軒下の屋根の配付け垂木の勾配を1/3寸以下にすることが多く見受けられます。
この勾配は桂離宮の時代から多く使われています。古い伝統建築物には以外と多い姿になっています。あるとき不思議に思いなぜなんだろうと考えてみました。ひとつの実験をして確認したりしてみました。もう30年以上まえのことです。結論から言うと、それは欄間からの風が室内に引き込まれやすくなるという機能上の理由からでした。勾配を1/3以上にすると風の侵入は押えられてしまいます。この現象を先人はよく知っていて配付けの勾配を1/3以下にしたものだと考えます。30年前ではまだ住宅の空気環境の話にもレポートにもありませんでしたが、伝統建築によく見られる1/2.8配付勾配の疑問は解消されました。京都の町家建築の中庭の井戸から水を組み上げ、石畳の中庭に打ち水をすると、路地から風が欄間越しに家の中に入ってきます。このとき何が起こっているのか、中庭の石畳の打ち水に冷やされた空気が上昇して屋根の暖かい空気へ向かいます。移動した空気を埋めるように表の路地方向から軒の欄間をすかして空気が室内へやってくるという仕掛けです。このときの軒勾配が1/3以上であれば空気の侵入は押えられ、1/3以下であれば欄間越しに吸い込まれてくるという訳です。
文言の竪に緊張する細隙は吹き寄せ格子の隙間を言います。軒下の勾配で涼風を室内にいざなう工夫は忘れられていた現代建築にも生かされて良いと考えています。
 夕食が終わって風呂上がりに縁側に座る。静な外の庭を眺め、その静けさに耳を傾ける時、ふと軒下の風鈴が舌(ぜつ)を揺らしチリン、チリチリ、チリン。とその冷たい音色を奏でます。夕刻の風鈴の余韻は空間に纏わりはじめた闇に消えて逝きます。こんな単純なかたちの風鈴は日本の夏に似合う風土の産物であり文化であると思います。
 風を仕掛ける建築の仕掛けは軒の角度と開口部分の配置にある。私たちの手がける住まいの建築にはそんな隠れた伝統の知恵がいきづいています。撮影場所は山梨県甲府市とありますが、我が家の勝手の路地で撮影しました。