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幽艶
闇の鮮やかな綻び、蒼古なほど内に耀く造形の秩序。
光芒に屈折する時の結晶体は、深淵な意識と結び、
闇に定立する瞑想の境界へ誘う。
私たち伊東工務店は、美を闡明し陰翳を掠め枯淡の光に微細に震える
空間の艶を現代建築へ織り込んで行きたいと考えています。
「間に漂い 時に結晶する記憶は永遠の今を語り続けます。」 右側の文は、飛躍した言葉である「時の結晶体」の解説にしてあります。
用の美としてある日本建築は、美の創造という造形の方向へは向いて
いません。が丸窓を丸と言葉で言わなくても写真にあるので、光を主役
にして闇の立場からその造作の均衡を心象として観念的表現の匂いを取
り去って文字にしてみました。 円窓から差し込む春の陽光と風は間に織り込まれ、畳面
に広がる光彩は 鮮やかに闇を穿ち、鮮麗に光と影のコントラストをつくりだしていま
す。(うつろいの光は、まとわりついた闇を円く鮮やかに穿ち、光彩
を 滲ませています。)光は心の中の闇を照らすかのようにみえてきます。
敷居の一線がこの行間と均斉する間の余白を引き締めています。
規矩の絶妙な均衡は腰窓の敷居の高さとその成(厚さ)さらに敷居から
窓までの距離、そしてその直径にあり、枠の見付き巾と漆の黒に際立ち
ます。最後の「造形の秩序」という表現は本来の日本建築を精密に表現
する場合には用いませんが、現代の感覚であえて造形としました。秩序
は建築規矩の作法が端正に表現されているという意味です。 「光芒に屈折する時の結晶体は、深淵な意識と結び、闇に定立する瞑想
の境界へ誘う。」 文章は時の結晶体を主語として4つの文面が展開されます。
1 時の結晶体は光芒に屈折しています。
幻視へ誘う文章として作成しました。記憶は時を離れて成立してきませ
ん。闇のひとつぶひとつぶが間の濃度の中で縹緲として漂いそれらの一
部を纏めて結晶体と置き換えました。光が差し込むとき、闇のつぶは微
かな響きをつくり 玲瓏な余韻を漂わせています。視覚からの心象風景
としました。結晶体が屈折するというやや透明度のある姿という意味も
あります。
2 時の結晶体は深淵な意識と結ばれています。
光芒に屈折した結晶体は角度を変えた光の筋を描き、人間性の深淵な意
識を照らし出しています。
3 時の結晶体は闇に定立しています。
やや難解ですが、主題を提示するという意味です。その他にうまく適合
させる熟語がないので使用しました。闇という媒体こそが間の主題にな
ります。視覚的には間に纏わりついた闇と淀み。心象風景の観念として
理解したとき闇そのものが主となります。日本建築は内側に滲むように
淀むように纏わる闇こそが空間の主要な景気となります。:2004
年夏の「書院」解説に詳しく説明してあります。 定立の解説詳細は
「純粋理性批判」岩波文庫か平凡社ライブラリーにありますので、参照
して下さい。
4 時の結晶体は瞑想の境界へ誘います。
記憶の結晶に屈折する光がいざなう実感としての幻視のことです。心静
かに目を綴じたくなるそんな場のいざないです。でありその純度です。
やさしくまとめた解説 記憶は時に結晶している。というやや飛躍した表現を使いました。記憶
の残像はひとつひとつ形の違う結晶体となり間に漂い、心の奥底に響い
てきます。間戸(まど)から差し込む光が闇に跳ね返され、一瞬見える
玲瓏とした微かな響きを五感で感じます。 光彩はややその角度を変えてみえてくるかのようです。それは人間性の
深淵な意識と結ばれたとき、精神的に瞑想する世界へ向っていく。そん
な幻視を抱かせる建築空間となっています。闇に定立するという定立は
やや難解ですが、主題を提示するという意味で使いました。闇の中の濃
度と、そこへ淡く滲む一閃に自由な想像力が飛翔するような、場の純度
の高さを観念的に表現してあります。そしてその幻視は心静かに目を綴
じて、瞑想へ導くということを表しているという意味でつかいました。
静謐な空間に広がる厳粛な気配と人の思い出が記憶に変わりその結晶
が瞑想へ誘うかのように感じられ、自由な想像力が飛翔する場の純度と
厳粛な気配の空間に自由な想像が飛翔していきます。そんな感激の純度
の高さを表現したつもりです。文章は一行で処理してある関係でやや理
解の糸はからんでいますが、関係代名詞のない日本語を関係づけてみま
した。 最後に、私たち伊東工務店は、闇の中に美しく感じるものが何であるの
かを理解し見つめます。 美を明晰に展開するのは、心の襞の陰翳を梳かして際立つ細み(さびの
心象)であり。季節のうつろいに(風)にゆれる光の穂先の振れ(揺ら
ぎ)を艶としてあります。 例 蒼潤(そうじゅん)な苔の先端のしずくに輝く部分の水滴、その屈
折し透過して見える微細な景は艶ややかに存在しています。ちょっと飛
躍しましたが、命の生息、息づかいを感じるという意味です。 光と風を感じ、緑を繋いで空間の深淵な陰翳に均衡する、すまいづくり
の姿勢を表現しました。
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