現代縁の風景一考
Y邸住宅新築工事
空間はかつての「縁側の風景」を現代化して考えてみた。造形は玄関と縁側の融合とう姿に求め、玄関露地と中庭を囲んで室内空間の場が連続する。場は、露地、玄関、台所、食堂、茶の間、畳の間である。それらの間は間に漂う場の濃度にある。旋律、結界、余白の均衡が、丹精という家族の関わりに際だつ。縁側からの動線と視覚心理効果 、機能性、それは近隣との交流の仕掛けの融合である。
心地よい風と中庭を梳かす竹と格子見立ての室内のラインドレープはその細隙梳かして気配という内外の緊張感をつくり出す。縁台の置かれる玄関露地は交流の役割を担っている。となりは知らないという姿からは、防犯も安全も確保することは望めそうにない。近隣との交流の最初の一歩は家族がどれだけその空間を近隣に解放出来るかにある。甲府市近郊の住宅地の一角に、現代縁の風景の提案がまたひとつ実現された。


玄関露地
夕暮れ.....。広がりのある内部空間は中庭の竹を梳かして見え隠れする、左右のラインドレープを閉ざすと、中庭の竹は表情を一変させ墨絵の世界に描かれる。昼間、ラインドレープがつくる細隙は格子にその姿を変え、室内の気配をそこはかとなく伝える、間は外部と一体となり其処は緊張感のある現代の縁側空間の誕生となる。露地の奥の緑は、駆け上がる風にゆらいで季節の予感を伝える。
 
玄関
石は仕上げの質を変え、足下の緊張感を変化させている。上がり框の線は、伸びやかで優雅な旋律を造る。足下の床は米栂(WPC処理材)の柾目板、壁、腰貼りは、ビニールクロス、天井は杉柾の建築化照明を備える目透かし天井、外部空間を透かしとる布のラインドレープ。間の旋律は和の優しい肌合いと大胆な片身変りの意匠となり、端正に際立つ。
 
茶の間 食堂
間仕切りは欄間一体型、上部分は解放されている。掃き出し障子は、壁内部で交差して収納され、和室側、食堂側それぞれが壁に引き込まれる。照明は建築化され、玄関露地、玄関、台所、食堂、茶の間、畳の間と続く。中庭側の格子見立てのランドレープを解放すると玄関と露地が竹を梳かして見えてくる。
 
畳の間
目積畳が市松に敷き込まれている。座敷飾りの上は空調機器の目隠し欄間、格子棒は一本一本その背面 をそぎ落としてある。押入はその右側に備わる。床柱は引き手兼用であり、大きな太鼓襖に取付けられている。一本引きの襖(壁)が床の正面 を隠すように移動する。 押入の襖を開けているとき、床の花は見ない。床に飾られた花を見つめるとき、押入は開けない。従って床柱は移動しても交換しても良いとうのが私の座敷飾りの扱いの見解のひとつである。
 
台所
背面の収納家具は桜材、対面式キッチンの正面は、玄関前の庭である。中庭の竹を梳かして玄関露地が見え隠れする。ここちよい緊張感が間を支配する。センターキッチンは布引きの漆調、卓は半透明のシルバーグレーの最先端素材、漆の黒が、竹の緑を引き立てる。伝統と現代が交錯する造形となった。
 
階段
ライトてすりが設置された階段室。木製手摺棒35mm内部にLEDを仕掛け4mmの光の線を象嵌してある。熱動体感知機能により点灯し、非常時には一秒間隔の点滅点灯(1時間程度)を備え、誘導灯となる。写 真左側は撮影方向G 右側は二階ホールからの撮影である。手摺に光の線をつくるその応用と展開は広がっていく。室内の安心と安全、可能性に満ちた入り口を感じる造形となった。(工業所有権申請中)
 

 
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